突然の事故や病気など救急車を呼ぶような現場に遭遇したとき、救急隊員や医療従事者が来るのを待たないで、なぜ応急手当を行う必要があるのでしょうか。
救急車が要請を受けてから現場に到着するまでの平均時間は、全国平均(東京都内も同様)で6〜7分です。たかが6〜7分、しかし、この救急車到着までの空白の6〜7分間が傷病者の生命を大きく左右することになります。
カーラーの救命曲線によれば、心臓停止の傷病者を3分間放置しただけで、死亡率は実に50%となり、7分後にはさらに高率となります。傷病者を救命するには、バイスタンダーによる応急手当が不可欠といえます。

突然に心肺停止した人を救命するためには、早い119番通報、早い心肺蘇生、早い除細動、2次救命処置(救急隊や病院での処置)の4つが連続して行われることが必要です。これを「救命の連鎖(チェーン・オブ・サバイバル)」と呼びます。
この4つのうち、どれか1つでも途切れてしまえば、救命効果は低下してしまいます。
特にバイスタンダーとなる市民は、この救命の連鎖のうち最も重要な、最初の3つの鎖を担っているのです。
震災や風水害等で、同時に多数の傷病者が発生したときは、平常時のように救急車を期待することは困難です。このようなときは、自主救護に努めなければなりません。
傷病者が発生したとき、放置することなく、誰かがすぐに応急手当を行うような社会にすることが必要です。
そのためには、まず、あなたが応急手当の正しい知識と技術を覚えて、実行することが大切です。他人を助ける尊い心(人間愛)が応急手当の原点です。

※ 応急手当の開始が遅れても、その意味がまったくなくなるというわけではありません。
早く応急手当が開始されれば、それだけ救命効果が高くなることは当然ですが、開始が遅れたとしても、少しでも蘇生の可能性があれば、その可能性に懸けた積極的な応急手当が望まれます。